発酵とは、目に見えない微生物(酵母・乳酸菌・麹菌など)や、それらが作る酵素によって、食べ物の成分が変化し、人にとって有益(おいしい/保存しやすい/栄養が利用しやすい等)な状態になる現象です。
発酵は「条件づくりの技術」でもあります。塩・温度・酸素(空気)・水分などの環境を調整し、望ましい微生物が優位に働ける状態を作ることで、腐敗(ふはい)や食中毒のリスクを下げつつ、風味を狙って作り込みます。10% I am では、「微生物(カビ・酵母・細菌)や酵素の働きで食品成分が変化し、人にとって有用な食品(発酵食品)として成立すること」と捉えています。
*麹がタンパク質を分解する様子
同じ“微生物による変化”でも、人にとって有害・不快(毒性、悪臭、食中毒リスクが高い等)になったものは一般に腐敗と呼び、「結果が人にとって有益かどうか」で、発酵か腐敗に選別されます。
生物学(狭い定義)としての発酵は「酸素が足りない条件で、酵母などが糖を分解し、エタノールや乳酸などを作りながらエネルギーを得る代謝」として説明されるそうです。
*麹を培養する様子
麹は、麹菌(Aspergillus oryzae とされるカビ)を蒸した米に繁殖させ、でんぷんやたんぱく質を分解する酵素を作らせたものです。ここで作られる酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ等)が、糖やうま味の“材料”を増やします。
重要なのは、麹菌が「自分で全部を食べ尽くす」よりも先に、大量の酵素で、後続の乳酸菌や酵母にも“使える材料(糖・アミノ酸など)”を増やす点です。この特徴が味噌・醤油・日本酒など日本特有の発酵文化の礎となっています。10% I am では塩麹を多くの商品に活用しています。
酵母は糖を利用し、酸素が不足するとエタノールと二酸化炭素が生じること(アルコール発酵)でエネルギーを得ます。パンでは二酸化炭素が生地を膨らませ、酒ではエタノールそのものがお酒のもとになります。日本酒、ワイン、パンは酵母による発酵が必要です。
乳酸菌は糖から乳酸を作り、酸性にすることで風味(酸味)を作り、同時に多くの雑菌が増えにくい環境を作ります。ぬか床では乳酸菌が中心的に関わり、塩に強く酸素に弱い菌が多いことも特徴です。乳製品では、ヨーグルトのスターターとして(ブルガリア菌+サーモフィルス菌など)を加え、一定温度で発酵させて酸度やpHを狙い通りにします。乳酸菌を利用した発酵食品はヨーグルトの他、チーズやキムチ、糠漬け、滋賀県では鮒寿し、へしこ(鯖の糠漬け)なども乳酸発酵を活用した発酵食品として広く食されています。
納豆は、蒸した大豆に納豆菌を付け、温度・湿度を管理しながら発酵→冷却・熟成させる食品です。発酵中にたんぱく質が分解され、独特の粘りや香り、うま味が形成されます。納豆菌の繁殖力は強く、お酒を作る酒蔵では、納豆菌の持ち込みは厳しく制限されています。
酢酸菌は、エタノールを酸素のある条件で酸化し、酢酸(お酢の酸味の本体)を作ります。日本古来からのお酢づくりは「静置発酵」とされ、最初に米と麹で酒を作る工程を経て、酢酸菌を入れてから長期間熟成させます。その間に香、旨み、コクが生成されます。一方、量販店で販売されている安価なお酢は「速醸法」で製造されるものが多く、アルコールに酢酸菌を加えてから強制的に空気を送り込んで、数日〜数週間で製造します。
また、お酢の料理への活用の仕方も世界中で異なる使われ方をしています。10% I amでは、国産のお酢以外にも、韓国のフルーツ系の多彩なお酢をドレッシング類に活用しています。